まず最初に今から書く内容については、赤単氷雪をある程度知っている前提ですので、現在一般的に使用されている赤単氷雪のレシピを知らない方は自身で調べていただくようにお願いします。


 そもそも赤単氷雪というデッキについてですが、所謂メタデッキと言うもので環境に対して刺さるカードをメインから積んで盤面を有利な状態で進めるものです。赤単氷雪の存在意義とも言える「血染めの月」や「大祖始の遺産」なんかがそれにあたります。


 赤単氷雪はハンデスもカウンターもありませんので、メタカードを使うことによってコントロールするわけですね。で、あれば必然的に他のデッキよりも、メタというのを意識してデッキを構築する必要性が出てくるわけです。単色デッキや赤系統のデッキが多ければ「血染めの月」は弱くなりますし、環境に墓地利用のデッキがなければ「大祖始の遺産」はゴミになります。ですのでその時その時のメタに応じて入れるべきカードは変化していきます。


 さて、モダンという環境は多種多様なデッキが存在しており、全てのアーキタイプに対応するのは無理ではありますが、メタの中心に存在するものも確かにあります。そうなると中心にいるのはホロウワンや5cヒューマンになるでしょう。そこの周りに、速度で対抗できる親和やエルフ、カウンターカンパニーなどの高速デッキ、真正面から殴り合いができるボーグルズ、コントロールできる青白やトロンなどがいる印象です(飽くまでも個人の感想なので実際のメタと違ったらゴメンナサイ)。


 これらのメタというのは日々変化しており、これからも変化していくでしょうが、それに反して赤単氷雪というデッキはどうでしょうか。このデッキの知名度が一気に上昇するきっかけとなった2016年のGPダラスからほとんど変化していません。「反逆の先導者、チャンドラ」や「熱烈の神ハゾレト」などは入るようになりましたが、それは単純に強力なカードが増えたが故のアップデードであり環境に合わせた変化ではありません。


 それは赤単氷雪というデッキの使用者が少なく研究が進んでいないのと、自由枠が多すぎる為に個人に合わせたチューンナップされたデッキが多く意見の交換がし辛いことが原因にあると思います。


 ですがそんなことを言っていても仕方がないことなので、個人的な意見ではありますが赤単氷雪が今の環境に合わせてどういう変化をしていくべきかということを述べていきます。


 さて、ここからが本題になりますが赤単氷雪はどういう風に変化していくべきなのでしょうか。今のモダンは高速環境で、そこで生き抜くには環境に合わせたスピードを出すか、それを捌ききるだけのコントロール性能が要求されます。当然ながら赤単氷雪が今の環境スピードに追い付くのはほぼほぼ不可能なのでコントロールする側になります。


 赤単氷雪は除去コンではあるので、本来であればこういったビートダウンがメタの中心にいる環境というのはありがたいはずなのですが、今の環境はとにかくビートダウン側の手数が多い為に対処しきることができません。ですのでその視点から不要なカード必要なカードを見ていきたいと思います。



不要なカード

 「精神石/Mind Stone」などのマナファクト
  これに関しては随分前から思っていたことなのですが、正直今の環境に全く合っていないと思っています。今の環境というのはとにかく速いので1.2ターン目のアクションというのは非常に重要になってきます。特に2ターン目、3ターン目の動きを間違えると相手によってはそのまま死ぬこともあることです。その中で2ターン目を丸々潰してしまうマナファクトというのはノイズになる可能性が非常に高いです。当然2ターン目は展開せずに、3ターン目に展開することで隙を減らすということもできますが、そもそも2マナファクトを入れている理由というのが3ターン目に4マナのPW(もしくはナラー夫妻)を着地されることなのでそれでは本末転倒なのです。であれば1~3ターン目全て相手の動きを阻害することに集中し、4ターン目から強いカードを展開したほうが強いと感じました。

  「旅人のガラクタ」に関してもほぼ同様で、キャスト自体は1マナですが3ターン目にPWを着地させようと思った時に1ターン目、2ターン目の両方を潰さざるを得ない状態なので、マナファクトの中でも最も弱いと思っています。

  実際、マナファクトをデッキに入れていた時はサイドボードをする際にかなりの確率で抜けていきました。特に後手番の場合は後手の2ターン目が丸々潰れるのは怖すぎるために必ずといっていいほど抜けていきました。


 「槌のコス/Koth of the Hammer」
  このカードと精神石を抜いてしまったら「赤単氷雪とは一体……?」となってしまいそうではあるのですが仕方がないです。

  コスは非常にピーキーなカードで、10点満点で評価する時に0点~10点まであるブレ幅の大きいカードです(チャンドラは個人的に5点~8点の間にあります)。というのも、とにかくこのカードは盤面が更地の場合や完全に膠着してる状況では無類の強さを発揮しますが、押されている場面ではほとんどテキストに何も書かれていないカードに成り下がります。要は勝っている時に強く負けている時に弱いカードの典型です。

  ということは負けている状況や、相手の盤面に対処しなくてはいけない時間が長くなればなるほどこのカードの価値というのは減少していきます。今の環境は特に我慢する時間が長いことが多いので、相対的にコスの強さが実感できないことが増えてきました。

  また「致命的な一押し」とかいうクソカードの登場により、1マナインスタントでランデスをされるという反則行為がまかり通っている状況なのも向かい風です。

  以前はコスがなければ決定打に欠けていたので必須パーツだったのですが、神チャンドラやハゾレトなどの優秀なカードが入るようになり、コスに依存しなくてもデッキとして成立するようになったのも大きいですね。


必要なカード

 「削剥/Abrade」
  このカードは本当に強いと思いました。とは言ってもメインに詰めるのはせいぜい2枚までが限界ではありますが。

  やはりメインから積めるアーティファクト破壊というのはとても強く、特に「虚ろな者」や「白金の帝像」を対処しやすいのはとても価値があります。ホロウワンの4/4というサイズがとても厄介で、「雪崩し」で対処しようと思った場合、基本的に4ターン目以降になってしまいます。そうなってしまえば当然ながら死も同然なので2ターン目に対処できるのはありがたいですし、ホロウワンが出てこなくても3点火力なので「炎刃の達人」に対して当てることができます。

  また「白金の帝像」はタフネスが8もある為、通常だと除去することが難しく、その能力故に無視して本体を倒すことも不可能な為に一度場に出されてしまうとほぼほぼ積みに近い状態でした。それに対してメインからの対処手段を得られるというのは多少なりともメイン戦での勝率に影響してくると思われます。

  また5cヒューマンに対しても有効で、「霊気の薬瓶」を破壊することができれば相手の展開速度を落とせ対処しやすくなりますし、これがもし「血染めの月」が貼れている状態であれば相手は完全に機能不全に陥るでしょう。また、除去の種類を散らせることによって「翻弄する魔道士」の耐性が増すのも大きいですね。

  赤単氷雪というデッキの空洞であった2マナ域を埋めることができますし、今の環境だと完全に腐る相手はかなり少ないので、割と安心して積むことのできるカードだと思います。


 「コジレックの帰還」や「焼けつく双陽」などの全体除去
  今の赤単氷雪のスタンダードなレシピだと「神々の憤怒」3枚か、そのうち1枚を「漸増爆弾」にしたものが多いです。実際僕が使っているレシピも憤怒2枚と漸増爆弾1枚です。

  この手のカードは腐ることも多く、手放しで入れることができないものの最近は欲しいと思う場面が増えてきたと思うことも確かです。ですので枠が余っていればという前提条件はありますが、全体除去を増やすのは一つの選択肢としては良いのではないかと思っています。

  インスタントタイミングで打て、欠色なのでプロテクションに引っかからない「コジレックの帰還」や腐ったときにサイクリングできる「焼けつく双陽」あたりが候補に上がってくるのではないでしょうか。個人的には「忌むべき者のかがり火」も選択肢として悪くないとは考えていますが、使い勝手が気になるところではあります。



 もっと細かく挙げれば、こうした方が良いのではないかという案はありますが大きなところでいうとこの辺りになります。総括するのであれば、赤単氷雪というデッキが今まであまり気にしてこなかったテンポというものと向かい合う時期が来たのだと思います。

 最後に僕が最近使い始めたレシピを掲載して締めとさせていただきたいと思います。まだまだこのレシピにしてから使い込んでいないので、これが良いのか悪いのか分かりませんが赤単氷雪使いはレシピに飢えていると勝手に思っているので(僕自身がそうなので)、少しでも赤単氷雪使いの参考になればと思い書かせていただきます。

 ただ基本的には僕が使っていて気持ちが良いように組んだデッキなので他の人が使うことを想定としていませんし、僕の好みでカードの枚数などを決めているので他の人から見て歪に見えると思いますので、そこは気にしないでいただけると助かります。


Main 60
Land 24
20 冠雪の山/Snow-Covered Mountain
3 占術の岩床/Scrying Sheets
1 溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle

Creature 15
3 ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster 
4 猿人の指導霊/Simian Spirit Guide
3 熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent
2 ピア・ナラーとキラン・ナラー/Pia and Kiran Nalaar
3 嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon

Other spell 21
4 稲妻/Lightning Bolt
3 大祖始の遺産/Relic of Progenitus
3 雪崩し/Skred
2 削剥/Abrade
1 漸増爆弾/Ratchet Bomb
2 神々の憤怒/Anger of the Gods
3 血染めの月/Blood Moon
3 反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance


Side board 15
1 墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage
3 耳障りな反応/Guttural Response
1 真髄の針/Pithing Needle
2 破壊放題/Shattering Spree
3 ドラゴンの爪/Dragon’s Claw
1 漸増爆弾/Ratchet Bomb
4 溶鉄の雨/Molten Rain



 サイドボードなどについてについて何か疑問点などがある場合、質問をいただければ答えさせていただきます。

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